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 離婚に関わる問題を解決する際には,多くの書類を準備する必要があります。離婚問題が持ち上がったのを機に別居を始めるようなケースでは,「書類を自宅を置いてきてしまった!」というケースも少なくありません。

 共働きの夫婦の一方が自宅を出て別居するケースについて,別居の前に準備しておくと良い書類をご紹介します。

 

1 まずは,別居期間中の婚姻費用(生活費)を計算するために,夫婦の収入を把握することが必要です。
 勤務先から前年の12月に発行された源泉徴収票の写しを準備しましょう。源泉徴収票に書かれている「支払金額」欄の金額をもとに,別居期間中の婚姻費用を計算することになります。
 「支払金額」が各々600万円と300万円で,子供の年齢が0歳~14歳の夫婦では,年収300万円の方が子供を連れて別居する場合には,自宅に残る方が月額6~8万円の婚姻費用を分担する必要があります。
 共働きの夫婦の場合には,夫婦両方の「支払金額」をもとに婚姻費用を計算することが必要になりますし,離婚後の養育費を算定する際にも「支払金額」を参照する必要があります。
  別居前に婚姻費用の支払いについての話し合いをしていないケースでは,生活費を確保するため,なるべく早い時期に婚姻費用の請求を行う必要があります。
 その際には,源泉徴収票が必要になりますので,同居期間中に手元で保管するようにしておきましょう。
 すでに勤務先を退職していて源泉帳票の再発行を受けられないような場合には,住所地の市役所・区役所で前年分の所得証明書を入手しておきましょう。
 なお,家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てる際には,直近の給与明細3ヵ月分の提出を求められることがあります。別居前に手元で保管するようにしておきましょう。

 

2 次に,同居期間中に夫婦で築き上げた財産(これを「夫婦共有財産」といいます。)を把握することが必要になります。①預貯金,②自動車,③持ち家,④負債について説明します。

 ①預貯金
 預貯金は,原則として別居時点の残高が,財産分与のもとになるプラスの財産としてカウントされます。通帳記帳を行って,別居日の直近の残高を確認しておきましょう。
 ご自身名義の通帳に関しては,直近の通帳だけでなく,ご結婚から別居開始日までの取引履歴が記載された全ての通帳を手元で保管するようにしましょう。財産分与の際には,別居時の残高を夫婦共有財産としてカウントすることが多いですが,結婚の時点で相当な残高があれば,その分が夫婦共有財産から除かれる可能性があります(この方がより多くの財産分与を受けることができます。)。
 また,日頃から相手方名義の通帳を管理している場合には,銀行名・支店名・預金種別・口座番号の控えをとっておきましょう。いったん別居を始めてしまうと,相手方がどこの銀行・支店に口座を持っているのか探索することは難しくなります。別居前に必要な情報の控えをとって,いざというときに残高の開示を求められるようにしておくことが重要です。
 控えをとる際には,相手方名義の口座からご自身名義の携帯電話料金・生命保険料・損害保険料が毎月幾ら引き落とされているかもチェックしておきましょう。いずれはご自身で支払いをしていかなければならない費用ですし,婚姻費用の支払いを受ける際に差し引かれる可能性もあるので,あらかじめ金額を確認しておく必要があります。

  ②自動車
 自動車は,時価が財産分与のもとになるプラスの財産としてカウントされます。
 時価は,車種・年式・型式・走行距離・車検残期間を,中古車価格情報誌やウェブサイトの中古車検索を利用することにより算出します。 
 車検証に載っている情報をもとに算出することになりますので,車検証の写しを1式準備しておきましょう。

 ③持ち家
 持ち家等の不動産も,時価が財産分与のもとになるプラスの財産としてカウントされます。
 まずは,住宅購入時の書類一式の写しを準備しておくことが有効です。不動産の登記簿謄本住宅購入時の契約書住宅ローンの支払予定表が一緒になっていることが多いので,それぞれ写しをとって手元で保管しておきましょう。
 不動産に関しては,価格を評価する際,「固定資産税評価額」が参考資料になりますので,市区町村の窓口で土地・建物の固定資産評価証明書を1通取得しておくと良いです。
 持ち家の購入時には,いずれか一方のご両親から金銭的援助を受けて購入することも多いかと思います。このような場合には,持ち家の購入金額に対するご両親の援助額の割合に相当する金額を特有財産としてカウントすることがあります。
 具体的には,4000万円の持ち家を,貴方の両親から1000万円の援助を受けて購入し,別居時の時価が3200万円になっている場合には,3200万円×1000万円÷4000万円=800万円は財産分与の対象から除外され,2400万円が財産分与の対象になります。
 両親からの援助を受けて持ち家を購入した場合には,援助額が幾らだったのかも確認しておきましょう。

 ④負債
 自動車や持ち家については,ローンで購入することが少なくありません。ローンは,財産分与のもとになるマイナスの財産としてカウントされます。夫婦が婚姻期間中に築き上げたプラスの財産とマイナスの財産を合計して,マイナスが出れば,原則として財産分与は行われません。
 住宅ローン,自動車ローンのいずれについても,支払予定表を取りそろえておきましょう。

 

 これらは,共働きの夫婦の一方が自宅を出て別居するケースをもとにした一例に過ぎません。実際にはご夫婦の状況に応じたきめ細かな調査が必要になります。

 

 当事務所では,「必要書類一覧表」を公開しております。
 法律相談にお越しになる前にこちらからダウンロードし,可能な範囲で必要事項を記入していただくと,正確なアドバイスをさせていただくことが可能になります。
 http://www.rikonmondai.jp/flow/pdf/sodanForm1.pdf

 

 名古屋丸の内本部事務所  弁護士 横 井 優 太

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