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 養育費や婚姻費用の金額の相談を受ける際は,離婚の相談に応じる専門家は,大まかな見通しを示す算定表を参考にします。

 しかし,決して算定表を見れば誰でもできるものではありません。

 算定表の基礎となる計算式も当然理解する必要がありますし,それ以上に,個別の事情も考慮する必要があります。

 弁護士として相談を受ける以上,様々な視点から増額や減額の事由を考慮する必要があります。

 よくある代表的な質問について,いくつかピックアップします。

Q 女性側が不倫をして別居に至ったのに,婚姻費用を求めるのはおかしくないですか?

A 原則的には,別居に至った個別の理由については考慮しないのが名古屋家裁の運用です。
 しかし,「婚姻費用の請求が権利濫用になると評価できる場合,子ども分のみしか請求できない」と判断された例があります。
 婚姻費用の請求が認められないこともありますので,算定表だけを根拠に決断をするのは少し危険です。
 別居に至った原因についても,弁護士に伝えたうえで相談をして下さい。

Q 裁判所の算定表どおりだと,子どもの私立学校の学費を払うことができません。増額して貰えないでしょうか。

A 算定表は,原則として子どもを養育する費用も算入されて作成されています。
 但し,算定表は,実は公立学校を基準に算出しています。
 高額な私立学校の入学金など,特殊な事情がある場合は,争う余地があります。
 あくまで名古屋家庭裁判所の一事例ではありますが,子どもの私立大学入学を義務者が了承していた事案において,裁判所より,私立大学の学費を加算した養育費が和解案として示されたことがあります。
 私立学校に通っているからといって直ちに加算されるわけではありませんが,ねばり強く交渉を続けることが大切になります。

Q 私が住んでいる家は,別居している夫が住宅ローンを支払っています。住宅ローンとは別に婚姻費用は支払って貰えますよね?

A この問題は実務上頻繁に遭遇しますが,明確な裁判所の考え方というものはないのが現状です。

 比較的よく取られる一般的な考え方を記します。
  
 まず,裁判所の算定表により算出された婚姻費用は,「一般的に必要となる住居費」は含まれています。
 とすると,住宅ローンを夫が払っているという今回の事例の場合,夫は住居費を二重払いすることになります。
 あくまで例ではありますが,互いの収入から判断される一般的な住居費を差し引いて,婚姻費用が決定されることがあります。

  例えば,「算定表上は婚姻費用が10万円」だけど,「夫が8万円の住宅ローンを支払っている」という事例においては,

 ・妻側弁護士は,
「住宅ローンを払うことで夫は住宅を手に入れる。だから婚姻費用とは関係ない。10万円払え」
 と主張します。

 ・夫側弁護士は,
「そもそも住宅ローンを払わなければならないのは,妻がその家に住むからだ。住宅ローンは全て差し引いて,2万円しか支払わない」
 と主張します。

 ・そして裁判所は,
「算定表上の婚姻費用から,通常必要となる住居費(ex.5万円)を差し引いて,婚姻費用は5万円とする」
 などの判断をすることが多いように思います。

あくまで一例ですし,固定的な考えはない分野です。

弁護士によく相談のうえ,金額を決定してください。

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